陸奥の山奥で宿を借りた僧一行。
あばら家には隙間から月光が漏れいる。己の救いない境涯を嘆く女は、乞われるままに糸車を回す。穢れない麻糸を紡ぎ今となっては縁のない雅な糸尽くしを唄うのだ。
薪を取りに出かける際女が禁じた奥の間を覗くと、血溜りの中に累々たる屍。
鬼女の本性を曝け出し襲いかかる女。僧の法力で封じ込められ黒塚と伝えられる。
人を捕って喰らうほどの狂気。
その誘因を想像した昔人は、生き別れた愛娘を腹の子もろとも過って弑してしまう母親の物語を残した。
あるいは人を喰らうとは、他人の心をを踏みつけにすることの比喩なのかもしれない。
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