ゆや、まつかぜに、米のめし
と言われたほどに飽きのこない名曲とされる、松風。
人気のある能は、いわばクラシックの名曲。作詞、作曲、さらにビジュアルまで、始まりから終わりまでが完璧に構成されていて、うっとりとその世界に取り込まれる。脳内麻薬が出てると思う。
須磨の海辺。月光にキラキラと波も白砂も輝いて。美しい海女姉妹が潮を汲む。
それは昔、在原行平に愛された乙女の霊。二人の持つ桶に美しい月が輝く。月は真実の愛の象徴。
月はひとつ。影はふたつ。潮が満ちるように乙女の心は愛で満たされて、なき人を待ち続ける。残像が残る美しい「松風」の前半。
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