平維茂が山中へ狩りに入ると美しい女達が紅葉狩の酒宴。やがて誘われ酒をすすめられ、幽玄な舞に酔いつつ寝入ってしまう。
林間に酒を温めて紅葉を焼くとかや・・・
白楽天の名文を引用して、肌寒くも燃えるような錦秋を愛でる風雅、ニシキヘビの如く豪奢で妖しい女君の誘惑も美しく。
長野戸隠には維茂が女首長「紅葉」を征服したという伝承がある。故に紅葉「狩」。
いや、では梨狩は如何に?
これは史実ではない、美しい物語。
能「紅葉狩」は女達が前世の因縁と誘惑し、それでいて仏教の「飲酒、邪淫」の戒めを説く。さてその正体は鬼である。
煩悩多き人間の内面を描いて妖しく美しい。
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