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弱法師~梅の花と施行のこと

すみよし北交流センターでお能の講座。

こちらでは時間をたっぷり2時間使って

パワーポイントによる能の舞台写真、能面、

絵画をはじめ史跡の紹介、

原文の解説、謡いや仕舞の実演までさせていただいています。

(編集注:2011年開催のイベント)


そもそもは住吉大社創建1800年記念の行事として

住吉にゆかりのある能の講座を12月14日にさせていただくことに

なっていたのですが、どうせなら大阪ゆかりの能講座も…

ということになり、


6月:江口

8月:難波

10月:弱法師


という内容で講座をさせていただきました。


今回のテーマ弱法師は、

大好きな曲でもあり、何度も町歩きや講座で

解説をしてきたのですが、今回解説している最中に

初めて気のついたことがありました。


盲目の俊徳丸が四天王寺にやってきて

実の父とは知らずに施行を受けようとしたそのとき、

(施行:せぎょう:来世に功徳を積む為に貧しい者や恵まれない者に施しをすること)

梅の香りがします。

梅の花が散って、俊徳丸の袖に散りかかったのです。


「げにこの花を袖に受くれば 花もさながら施行ぞとよ」

「なかなかのこと草木国土 悉皆御法も施行なれば」

「皆成仏の大慈悲に」

「漏れじと施行に連なりて」

「手を合わせ」

「袖を広げて」

「花をさへ 受くる施行のいろいろに

 匂い来にけり梅衣の 春なれや難波のことか法ならぬ

 遊び戯れ舞い謡う 誓いの網には漏るまじき

 難波の海ぞ頼もしき

 げにや盲亀の我らまで 見る心地する梅が枝の

 花の春ののどけさは難波の法によも漏れじ 難波の法によも漏れじ」



…梅の花が自ら花を散らして、人の心の悲しみ・苦しみを癒すならば

 それは即ち梅の花による施行であって、その功徳によって

 仏の誓願のままに、人間のみならず草木である梅の花も

 成仏するのである。


 我らのごとき、舞や謡を見せて身命を繋ぐ卑しい芸人であっても

 草木国土あまねく極楽に迎え入れるという

 仏の大いなる慈悲の海を彼岸へと渡し導く

 仏法の船に乗ることができる。

 これは日本で最初に仏法を広めたという

 四天王寺(難波寺)の、まことにありがたい功徳なのである。



…花=施行 のくだり、花自身が命を散らして功徳を積んだ、

 ということなのだと今日はじめて理解できたのです。


 きちんと読み取ればわかることなのですが(^^;)

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